503人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事を終えて社内を出ると、程なくして彼が現れて、
「この先に隠れ家風の店を見つけたんで、そこに行こう」
言って、先に歩き出した。
……路地を入ったわかりにくい場所にある古民家風の割烹で、通された席に落ち着くと、
「……珍しいな」
と、佐伯が口をひらいた。
「おまえの方から誘ってきたことなんて、今までなかったのに」
「今夜は、少し話があったからな…」
おしぼりで手を拭いてひと息をつく。
「……話?」と、彼が首を傾げる。
「ああ、飲みながらでも話すから」
オーダーをして、運ばれてきたワインでチン…と軽くグラスを合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!