第3章

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"助けてやる"──そう言っていた佐伯の顔が、にわかに浮かぶ。 助けて……ほしいわけなども……。 グラスから、一気に酒を流し込む。 クッ…と、喉の奥から短い声が漏れる。 喉元を手で押さえて、ハァ…と息をつく。 僕は、本当には……、 胸の底を這い上がってくる、胃液のようにも苦い、何かに、 息も、継げなくなりそうになる……。 苦しい……こんな思いを感じたことは、かつてなかったのに……。
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