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洗面所で、飲んでいた酒を吐き出した。
はずしたメガネを傍らに置いて、鏡に映る自分の顔を撫でさする。
……僕は、
僕なのか……。
自らを、把握できない。鏡の中のその顔が、自分なのかわからなくなる……。
こんな……切なさに苛まれるのは、僕ではない……。
違うはずだ……と、鏡に拳を打ちつけた。
握り締めた拳の横に、涙を流して歪んだ自分の顔が映っている。
どうして、僕が泣くんだ………。
何のために、誰のために……。
……くっそ…!
わけもわからないまま襲われる哀しみに、洗面台につっ伏した。
蛇口を捻り、頭から水を浴びる。
……泣く理由など、何もないのに。
なぜ、こんなにも泣けてくるんだ……。
なぜ……僕が、こんな思いを、抱えなければならないのか……。
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