第3章

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「……たまにはいいだろ」 なんて応えればいいのかもわからずに、目をそらして素っ気なく言う。 「…ふぅーん、どんな心境の変化なんだか。あんなに、私を毛嫌いしてたのに」 相変わらず派手に化粧をした顔で、フッと軽く唇の端を引き上げる。 「……別に、どうしたってわけでもない。ただ来てみたくなっただけだ……」 「そうなの? まぁ、いいわ。どんな理由でも久々に会えたんだから、今日は飲みましょう?」 カウンターばかりのテーブルに、バーボンのボトルが出されて、 「好きなだけ、飲んでいいから。久しぶりの再会に、今夜は私が奢るから」 と、母は微笑った……。
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