第3章

29/55
前へ
/147ページ
次へ
──訪れてはみたものの、母親と話したことなどもあまりなく、 互いに黙ったままで、ただ酒を飲んでいた。 何をどう話せばいいのかも考えつかずに、酌み交わすアルコールの量だけが増えていく。 また頭が痛くもなってきて、カウンターに片肘をついて額を押さえた。 「どうしたの? もう酔ってきたの?」 訊いてくる母に、無言で首を振る。 「……だったら、どっか具合でも悪いの?」 気づかうようなセリフが、なぜだか逆に気に障って、 「違う…っ!」 と、声を荒げた。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加