第1章

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「来なくて、いい」 露骨に否定をすると、 「相変わらずな言い方よね?」 電話の向こうから、小さくクスッと笑いが聞こえた。 「だけど、もう電車がなくて帰れないのよ。ちょっと泊めてくれるだけでいいから……。ねぇ、いいでしょ?」 「……好きにすればいい」 押し問答をするのも嫌になり、勝手にすればいいと感じた。 「じゃあ、これから行くから、よろしくね」 自分の都合だけを押しつけて、女からの電話は切れた。
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