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会話は長くは成り立たず、一言二言を喋っては黙り込むのをもうずっと繰り返していた──。
今時の派手さもない寂れた街外れのスナックには大して立ち寄る客もなく、時間が経っても店の中には二人きりの状態だった。
「ねぇ、聖哉。あんた、好きな人ってできたの?」
「…好きな人……」
グラスを持ち上げていた手が、思わず止まった。
「……いるの? あなたって、本当に恋愛には疎くて。その顔でモテるのに、まるで本気にはならないんだから」
本気の恋愛をしたことがないのを、母に悟られていたと思った。
「…どうなのよ? いい加減ちゃんと恋愛する気になったの?」
「ちゃんとって、なんだよ…」
ストレートのバーボンをゴクリと飲んで言う。
「心配してんのよ、これでも。私だって、一応は母親なんだしね」
「母親みたいなことなど、してくれたこともないだろう」
言うと、グラスに酒を注ぎ足しながら、「そうね…」と、母は薄く笑った。
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