第3章

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「本当に、なんにもしてあげなかったわよね。だって、あなたときたら、子供の頃からなんでもできて、私がかまう必要もなさそうだったから」 「……あんたがしてくれないから、自分でやるより仕方がなかったんだ…」 「…あら、そうなの? あなたは誰の助けもいらなそうだったから。一人でなんでもした方がマシって感じで」 母は最初に会った時のように、また驚いた風な顔つきで話して、 「……でも、もしかして、寂しかったの? 聖哉」 と、こちらにちらりと視線を寄越した。
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