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「寂しいわけも……」
言ったそばから無自覚な涙が流れて、忌々しくも感じつつメガネを外して拭った。
「……泣くなんて、聖哉が…」
気取られないようすぐに拭ったつもりが、母に涙を見られてしまったことがやけに恥ずかしかった。
「……最近、涙腺が緩くなっただけだ。意図したわけなんかじゃない……」
バーボンを含んで言う。
「ふぅーん…」と、横目に僕を見やると、自分も一口を飲んでグラスを空け、
「別に、泣きたければ、泣けばいいじゃない。隠す必要もないでしょ。あなたって、そうやって自分で自分を、がんじがらめにしてるだけじゃないの?」
空になった二つのグラスにドボドボと酒を注ぎ入れた。
「……がんじがらめ?」
と、手にしたグラスから目を上げる。
「そうよ、自分で自分を縛って、ストイックにでも生きようとしてんのか知らないけど、何が面白いのよ?」
「面白いとか、面白くないとかでそうしてるわけじゃないっ!」
苛立ちが露わになり、怒鳴るような言い方になった。
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