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ピンポーン……。呼び出されたインターホンの画面を面倒な思いで覗いて、
「開いてるから、入れ」
素っ気なく返した。
唇に付けが真っ赤な口紅がやけに目立つその女は、何がおかしいのかまたクスッと笑うと、部屋に入って来た。
「……飲んでたの?」
テーブルに目を落として、話しかけてくる。
「ああ……」
「スーツも脱がないで飲むなんて、よっぽど飲みたいことでもあったの?」
彼女が横に腰を下ろすと、付けている香水がぷん…と鼻をついて匂った。
「そんなんじゃない。別に、飲みたかっただけだ」
「そう……、だけどネクタイぐらいはずしなさいよ」
締めているネクタイに、口紅と同じ赤いマニキュアの付いた手がかけられる。
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