第3章

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──会社の廊下で、前から歩いてくる佐伯の姿が目に入った。 すれ違いざまにパシッと手を取って、 「今日、食事に行かないか?」 と、誘いかけた。 「え…?」と、驚いたように、こちらを見る。 「……いいが、」彼が一瞬言葉を切って、どこか探るような眼差しを向けた後で、「下で、待ってればいいのか?」とだけ訊いてきた。 「ああ」頷いて、「仕事が終わったら、すぐに行く」続けた。 「わかった…待ってる」 彼は軽く微笑うと廊下を歩き去った──。
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