第1章

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「……返せよ」 「……じゃあ、キスしてよ?」 奪われたグラスに手を伸ばしながら、それでグラスを返してもらえるならと半ば投げやりな思いで口づける。 形ばかりのキスをして、奪い返したグラスからバーボンを飲んだ。 「……それだけ?」 「……何がだ」 まだキスをしてほしそうにも見つめている潤んだ瞳から、目をそらした。 「……足りないわ」 「足りないのなら、足りるようにしてやる」 イラ立ちをぶつけるように、つかんだグラスから女に口の中へバーボンを注ぎ込んで、咳き込んだところをソファーに押し倒した。
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