第1章

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桐生(きりゅう)、おまえってモテるのか?」 同僚の佐伯(さえき) 和真(かずま)が訊いてくる。 「……決まっている」 やや鬱陶しくも思いながら応える。 「決まってるって、つくづく嫌味な奴だな、おまえってば」 軽く笑いながら肩を抱いてくる佐伯の手を振り払い、 「聞いてきたことに、素直に答えただけだ」 額にかかる前髪を掻き上げた。 「そういう仕草とかも女どもの注目を浴びてるって、おまえ気づいてるのか?」 笑いを貼りつけたままで話す佐伯に、 「……別に」 とだけ、答える。
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