第1章

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煩わしい周りの噂から逃れるように、パソコンの画面に目を落とした。 仕事に没頭してさえいれば、不快な声も聞こえてはこない。 じっとスクリーンだけを見ていた、その視界の端に、割り込んでくるような視線を感じた。 その視線は、どこか刺さるようでもあり、顔を上げてオフィス内を見回してみた。 だが視線の主は知れず、かけているメガネを一旦はずして、片手で両目を押さえた。 目の奥に、今まで見ていた数字の羅列が浮かぶ。 誰なんだ……。あんな目で見てくるなど……。それは、かつて感じたことのないような視線にも思えた……。
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