496人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
番外編
「なぁ、俺たち付き合ってると思っていいんだよな?」
相変わらず人の部屋に夜中に押しかけてきている佐伯が訊いてくる。
「……今さらだろう」
「今さらって……あの難攻不落なおまえをとうとう落とせたのかって、俺は……」
「……うるさい、二度は言わない」
「おまえが言いたくなくても、俺は聞きたいんだってー」
言いながら締めているネクタイを片手で緩めて、ごくっとアルコールを口にする。
「……どうして、言わないとならない」
また酔ってきているのかと、苦々しくも思いつつ横目にその顔を見やる。
「……それはその、俺だけ本気で付き合ってると思ってたら、嫌だからだろ…」
酔っ払った戯言にわざわざ応える必要もないと、つかんだグラスを、
「……聞けよ、ちゃんと俺の話を」
と、佐伯の手が取り上げた。
最初のコメントを投稿しよう!