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そうして着替えてきた瞬助と、コウジの部屋でいつものように課題を始める。
だいたい瞬助は先にスラスラ解いて、課題を終え、コウジを手伝う流れだ。
「よし終わった」
課題に集中していた瞬助が伸びをしながら呟く。
「え?もう!?三教科?」
ものの30分もたたない間に…
「おう、終わった、お前はどこやってんだ?」
「数Ⅱの、問3」
課題の問題集を見せて伝える。
「これな、解いてみた?」
「ううん、まだ」
「じゃ、一回解いてみる?合間に終わったの見てやるから貸してみ、あと分からなかったら聞けよー」
「うん、」
そう解き終わった問題集をひとつ受け取り、爽やかな笑顔でコウジを見届けると、瞬助は学校の課題とは別に、自前の問題集を出して解き始める。
しかもよくみると大学レベルの問題集…
高2の勉強なんかは瞬助には簡単すぎるのか…
学校の課題に悪戦苦闘している間に、天才とはこうして差が開いていくんだな…と漠然と思うコウジ。
普段はただのアホなのに、勉強に関しては悔しいけれど瞬助には敵わない。
そこは素直に教えを請うことにしている。
時々瞬助に教えてもらいながら課題を進めていると…
コウジの携帯電話が鳴り始める。
「あ、母さんだ、ちょっと電話してくる」
携帯電話を持って部屋を出ようとするコウジの腕を掴んで止めながら…
「待てって、ここでいいだろ、なんでいちいち出ていくんだよ」
とりあえずコウジの側にいたい瞬助は引きとめる。
「え…、もう。…はい、母さん?」
呼び出し音も鳴り続けているため、溜め息をつき仕方なくその場で電話にでる。
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