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「お前なぁ…俺はお前がいないゴールデンウィークなんか嫌だからな」
つーん、と子供っぽく拗ねる瞬助。
「そう言われても…じゃ、瞬が部活のある日は寮に戻るようにするから、それでいい?」
「デートは?」
「無理だって、全部予定入れてるもん、瞬も実家帰って親孝行しなよ」
どっちにしろ2人でデートは行きたくないし…
「あーもう!何でだよ!せっかくゴールデンウィークなのに恋人とデートにも行けねぇってどうよ!」
コウジの素っ気ない言葉に、地団駄踏むようにイライラする。
「瞬…落ち着いて、今年はタイミングが悪かったと思って…」
機嫌が悪くなりそうだったのでなだめてみるが…
「じゃ、来年は絶対デートしろよ!」
「えっ」
「ママと予定入れたら許さないからな!」
「わ…分かったよ」
有無を言わせぬ勢いの瞬助に引きつつも、言い返したら面倒くさそうだったのでとりあえず頷いてしまう。
まあ、1日くらいは空けとこうかな…
「ていうか、マジな話、1日くらいなんとかならねーのか?2日、土曜日の午前中だけでも!」
そうピンポイントに指定してくる。
「なんで?」
「陸上の地区予選大会があるんだよ、総合グランドで」
「え?瞬、出るの?」
「もちろん、こないだ学校選考会してただろ、俺はハードルで出る予定だから、オレが走る午前中だけでもいいから観に来てくれよ」
「僕が観てたら何かいいことがあるの?」
「いつもより速く走れる!」
「……本当に?」
なんとなく疑うが…
「コウジに観られていたらやる気も出るし、ハードル競技は午前中で終わるから」
「うーん、」
「コウジ!」
何とか応援に来させようと粘る瞬助。
「…分かった、母さんに聞いてみるよ」
そんな様子にため息をつきながらも折れるコウジ。
まあ、真面目な大会なら、瞬助には頑張って欲しいから…
「っしゃ!」
ガッツポーズなどをしながら喜ぶ瞬助。
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