リリ・ラン

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 お父さんの言葉に、さざなみは一度目を伏せ、そしてまたお父さんを見つめ、手と手を合わせた。  その気になれば、僕らのことを一瞬で潰せるくらい大きな手で、とても慎重に僕らに触れるさざなみは、呼吸さえ慎重に気を遣うさざなみは、本当に心が優しいのだろう。  さざなみがウチュウセンへと入っていく。危ないから、遠く離れてと言う声は、まだ震えている。僕らは言う通り、ウチュウセンから離れた。  入口に立っているさざなみの姿が見える。扉が閉まって行く間、さざなみは僕らのことをずっと見つめていた。見えなくなる瞬間、さざなみは何か音を発した。 「あああああ」と聞こえた。遠く離れすぎて、ホンヤクキの効果がなくなったのだろう。その音が、何を意味しているか、頭の中に入ってこなかった。  でも、わからなくても、わかることはあるのだと、空を飛んでいくウチュウセンを見て、僕は、そう、思った。
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