アブルニー

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アブルニー

 大失態だった。  自分の失態がさっきから四回転半ぐらい頭の中でリフレインしている。漣の宇宙船が問題なく着陸したから油断していた。  自分の宇宙船が彼のものより一・六トンほど重いこと、陸地の状況の確認を怠ったこと。着陸する時によそ見をしていたこと。全て自分の落ち度だ。  陸地は、エメラルド色をしていたが、地球の砂漠のような砂地で、そのイメージが先行していたこともあった。  砂が密集し、大質量を支える基盤は十分だと判断した。  実際はその砂地の中は薄いガラスのような透明の皮一枚の上にあり、そこに宇宙船の足をかけた途端、地面は崩れ、船ごと惑星の中心に向かって落ちてしまった。  船は完全に浮力を失っていたから、脱出もできなかった。  不幸中の幸いは、落ちた先がエメラルドの沼地みたいな場所で、衝撃を吸収してくれ、宇宙船と共に自分が大破することは免れた。  けれど宇宙船はその沼地に吸い込まれ、その前に脱出はできたものの、足を挫いて、動くこともままならない。
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