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夏帆が楽器庫の外で一人練習していると、
仁先輩も廊下に出てきた。
「暑い…」
と言って出てきた彼は、前髪と第2ボタンまで開けられたYシャツが汗で濡れている。
金子先輩は暑さにも負けず、
相変わらずドラムを叩き続けている。
バスドラムとスネア、シンバルの音が
途切れずに廊下に響き渡る。
「最近好きな人とはどう?」
仁先輩は唐突にそんな質問をする。
夏帆の答えは決まっている。
「全然進展なしです」
管楽器と違い、パーカッションは息を使う必要がないので、
よくこんな風に練習しながら他愛のないお喋りをした。
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