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仁先輩は夏帆の正面に立ち、
自分のスティックで同じ練習パッドを叩き始める。
2人ともしばらく無言でストロークの練習をしていた。
だが突然、
「それにしても暑すぎ!」
と仁先輩は言い、
スティックを振っていた手を止めて
コンクリートの壁に自分の左半身を押し当てた。
「え!? 何してるんですか」
夏帆は突然の仁先輩のその行動に目を丸くする。
「ここ、冷たくて気持ちいいよ」
そう言って仁先輩は
左のほっぺたを壁に密着させる。
「夏帆もやれば?」
そう言って、彼は夏帆にも勧めてくる。
「嫌ですよ。意外とここ、人通りますし。変人だと思われます」
「大丈夫。誰も見てない」
そう言って、仁先輩は目を閉じて
さも気持ちよさそうにしている。
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