ぶっ飛んだ青春

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あまりに気持ち良さそうなので、 夏帆はついそれが羨ましくなった。 「私も…ちょっと休憩」 そう言って、夏帆は仁先輩と向き合う形で 右のほっぺたと腕をコンクリートの壁にピッタリと付けた。 一瞬、その冷たさにビクッとなる。 夏帆は目を瞑った。 しばらくそのままでいると、 自分の体温が下がっていくのを感じた。 寒い冬に露天風呂に入るのと 同じ種類の気持ち良さがあった。 もしこの様子を通りがかった人が見たらどう思うだろう。 男女2人が向かい合って壁に体を付けて、何かを感じている。 シュールすぎて笑えてくる。 仁先輩は廊下に背を向けているし、 夏帆は目を瞑っているから 誰かが通っても気付かない。 夏帆は誰にも見られませんように、と願った。
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