6人が本棚に入れています
本棚に追加
あまりに気持ち良さそうなので、
夏帆はついそれが羨ましくなった。
「私も…ちょっと休憩」
そう言って、夏帆は仁先輩と向き合う形で
右のほっぺたと腕をコンクリートの壁にピッタリと付けた。
一瞬、その冷たさにビクッとなる。
夏帆は目を瞑った。
しばらくそのままでいると、
自分の体温が下がっていくのを感じた。
寒い冬に露天風呂に入るのと
同じ種類の気持ち良さがあった。
もしこの様子を通りがかった人が見たらどう思うだろう。
男女2人が向かい合って壁に体を付けて、何かを感じている。
シュールすぎて笑えてくる。
仁先輩は廊下に背を向けているし、
夏帆は目を瞑っているから
誰かが通っても気付かない。
夏帆は誰にも見られませんように、と願った。
最初のコメントを投稿しよう!