ぶっ飛んだ青春

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楽器庫は狭い。 両脇には楽器を収納する棚があり、 入り口から向かって右にはコントラバスやチューバなど大型の管楽器、 向かって左にはティンパニと、タンバリンなどの小物類を収納していた。 真ん中の通路にそのほかの打楽器を詰めているのだが、 楽器と楽器の間に身を縮こませて入るのがやっとで、 十分な練習スペースが確保できているとはとても言い難かった。 夏は暑さがこもり、おまけにカビ臭い。 窓を開けて同じように暑い外の空気を入れても 涼しくはならなかった。 そんな時、 夏帆はドラム用練習パッドを持ち出して 楽器庫の前のスペースで基礎打ちの練習をした。 何と言っても廊下だから、夏は涼しい。 基礎打ちはスティックとメトロノームを使い、 4分、8分、3連符、16分を刻むほか、 楽譜を見ながら複雑なリズムを叩いたりする。 カチ、カチ、カチ、チーンと廊下に響く メトロノームの音が夏帆は好きだった。
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