夕立

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遠くで工事の音がする。掘削するような大きな音にため息をつく。 窓を開けているのに今日はじめじめと暗くて暑い。課題のレポートも、プロジェクトメンバーから来る投げやりな言葉だけであとは進捗状況ばかり訊ねてくるメッセージも、何もかもが今のわたしをイラつかせている。地獄、あの世に地獄があったらこれよりどれほど辛いのだろう。ふとそんなことが頭をよぎった。 工事の音が止んで、 カタカタと文字をタイプする音だけが響いている。 そうかもう夕暮れなのだな、と思った瞬間パソコンのバッテリーが少ないと警告が出た。どうせ十分の一も終わっていないレポートデータしかないから警告なんてしないでさっさと切れてくれればよかったのに。思わず舌打ちをした。ここ数週間の土日を働くか他人との用事で埋めてきた自分としては久しぶりの『何もない休日』だったはずなのに、急に締め切りを押し付けられたせいで散々だ。 手が止まる。 限界が来たんだ。机に手をついたそのままの格好で動けないまま涙が出てきた。 なんのためにこの一年半、そしてこの学校に入るまでのすべての年月を超えてきたのだろう。 外から突然ノイズのようなザアア……という音がし始めた。 開け放った窓からひんやりと冷たい風が吹いてくる。気が付いたらわたしは窓のへりに座って、ぼんやり雨の粒を見つめていた。 きっとここから飛び降りたら、一瞬だけの安定を得られるのだろう。 たった一瞬だけ、この風より短くて儚い幸福を得られるかもしれない。
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