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これからの20年
二人ともいつ寝たのか朝のさえずりが夢の中にも入ってきた。
幸子は幼稚園時代の夢を見ていた。
いや、それは幸子の経験したことのない夢が生み出した時代だった。
――私、大人になったら美音子ちゃんと結婚する!
―― 幸子ちゃん、ありがとうー。でも、女の子同士でもできるの?
――好きな人と一緒になるのが結婚なんだってお母さん言ってたもん。だから、私は大好きな美音子ちゃんと結婚するー!
少女と呼ぶにはあまりにも早い、幸子の無垢な恋心は知識が身に付くほど傷つき、しかし、希望の光も見つけることができた。
一つだけ願いが叶うなら……好きな人と一緒にいたい。
「美音子……ありがとう……」
「何が?」
「私のことを好きでいてくれて。アナタの心の側に居させてくれて」
「そんなの私も同じ気持ちだよ」
美音子は幸子の首筋にキスをすると幸子を抱きしめた。
二人の隙間に何もない。心と身体の距離はパズルのピースのように埋まった。
これからも二人はパズルを見つけるたびに埋めていくだろう。
しれは二人のこれからの20年を埋め続ける長いパズルだ。
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