愛さずにはいられない

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

愛さずにはいられない

自分を見ているようで、 そんなあなたが嫌いだった。 面倒なことが嫌いで、嫌なことはすぐに諦める。 人には理想を求めて、自分には甘い。 こだわりが強くて、変なところで真面目。 それに、休日はいつまでも寝てる。 あえてあと一つ加えるなら、靴下をいたるところに放置しないで。 繰り返される日常。 このまま夜が永遠に続けばいいのにと思っても こちらの都合はお構い無しに太陽が現れる。 「あなたはなぜロミオなの?」なんて、叶わない恋に憧れたあの頃も、12時で魔法が解けてしまう私を追いかけてきてくれる王子様の夢も、いつ消えてしまったのか。それすらもわからない。 幼少期に抱いたいわゆるトキメキは、どこかに忘れてきてしまったけど、愛さずにはいられない。 私にそっくりなあなた。 大っ嫌いな私にそっくりなあなた。 故に私は、あなたが嫌い。 それでも私は、愛さずにはいられない。 大丈夫、大丈夫。 あなたは愛されている。だって私がいるから。 きっと大丈夫。 あなたは一人じゃない。だって私がいるから。 そう思わずにはいられない。 だって、そうじゃないと私が立てなくなるから。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!