Diner with .

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今日もあの人からの手紙があった。嬉しくなってすぐに開けてしまう。勿体無いなと思いながらも、あの人への想いの方が勝ってしまう。今日の手紙はどんな内容だろうか。胸が躍る。 「いつもの場所に来て」 其れだけの内容だった。だけれど、それだけで嬉しい。あの人からの手紙というだけで、それだけで嬉しい。 いつもの場所というのは、あるレストランだ。ある程度の品のある、素朴だがとても美味しいイタリアン。あの人と初めて出会った場所だ。此処から少し遠い。だがそれも特別感を演出してくれる。車に乗って夕暮れの街を走る。日が暮れてすぐの頃にレストランに着いた。顔見知りの店員さんと少し話しながら席にエスコートされる。食前酒を決め、白ワインがワイングラスに注がれるときにハッとする。今日、車だ。 結局車の運転は代行に頼んだ。料理はやはり、とても美味しい。特にレモンの輪切りがのったピッツァはスッキリとしていて次も食べたくなる。バジルソースで彩られたカルパッチョも思いのほか優しく私を包み込んでくれる香りを孕んでいた。ピンクペッパーの程よい刺激も食欲をそそる。カツレツの衣も歯触りが良く、お肉は丁度いい肉汁を含んでいて、幸せを感じた。とても素敵な時間だった。家に帰ると酔いが回ってしまったのか、睡魔が襲ってきた。相当酔っていたのか。涼しいレモンの香りが私を夢へと誘う。
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