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「……っ!」
突然乗り物から響き出す警報。
ロイは思わず警報が鳴っている場所……ハンドルバーに目を向ける。
何か危険なものに出くわした場合、乗り物から自動的に警報が鳴ると聞かされていた。
だが実際に生で聞いたのはこれが初めてだった。
やはり周囲の者に知らせる為に、音はかなり大きい。
その大きさは通信機の奥にいる彼女の耳にも届いていた。
「ロイ……っ!?今鳴ってるのって……」
不安の声を漏らすメアリー。
一方、ロイはハンドルバーを握りしめながら、険しい表情で前方を見つめていた。
「メアリー、悪い……。少しの間、話しかけないでくれ……」
ロイは前方を警戒しながら通信機の奥にいるメアリーに告げる。
ロイが今見ているもの……それは大きな時空の波。
波に飲み込まれて乗り物から離れてしまった場合、時の漂流者となって二度と帰還する事が出来なくなる。
よってロイは必死に乗り物を操縦して、押し寄せてくる波をかわそうとする。
「チッ……波がでけえ!」
迫ってくる波を振り切ろうとするロイ。
しかし波は巨大で、数も多かった。
「……っ!ああぁっ!」
やがてロイは波に追いつかれ、乗り物ごと波に飲み込まれてしまった。
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