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プロローグ
ワッツ
「ノ、ノ、ノベルを読むときはぁ、部屋を明るくして、はなれて読んでね♪」
シオン
「いや離れたら読めないでしょう!」
★
ここは生物が死んだ後に訪れる世界、冥界。
中心に大きく建てられている建造物は閻魔堂……そこには今、冥界の主であるヤマ・ラージャがたくさんの鬼達を従えて暮らしている。
過去にその世界は激戦地となっていたが、今ではすっかり立て直して平穏さを取り戻している。
そして、その閻魔堂から離れた場所で、とある者が行動を起こそうとしていた。
その者は黒いローブで完全に身体を包んでいて、容姿は判断出来ない。
だがそのローブから伸びている手……それは極端に細く皮膚も薄く、まるで骨そのもののようだった。
「…………」
彼は迷いを見せずに、真っ直ぐ歩き続ける。
今、彼が歩いている場所は冥界から最も外れにある場所。
よって、鬼達の警備や監視は他の場所に比べて薄い。
それは彼にとっては好都合だった。
「……っ!」
ある場所で彼は立ち止まり、手に力を込め始める。
すると、彼の手にとある鎌が握られた。
それは複数の棒が編まれて出来た様な見た目の持ち手で、不自然に歪曲している。
色はたくさんの色が合わさって、醜いものとなっており、更に持ち手と刃の間には猫が見開いた様な目をした紋章があった。
「おらぁっ!」
鎌が現れた後、彼は目の前の空間に向けて鎌を振るう。
その直後、彼の目の前に黒い靄が現れた。
それは彼をすっぽりと覆い尽くす事が出来る程の大きさだ。
そんな靄を見て彼は笑みを浮かべる。
「さあ……出発だ……!」
そして彼は躊躇せずに、その靄の中に入り込んだ。
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