この先もラブストーリー

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 ママと同じ三六歳のはずだけど、まだまだニ十代で通るくらい、若々しくて透明感がある。  旦那様の皓斗さんもカッコ良くて、イケメンカップルとしてマンションのおば様方にもモテモテだけど、侑希さんの方がマニアックなファンが多いかな。  たとえば……。 「ゆうきさーん、たっだいまー」  出た! 「お帰り、仰葉(あおば)」 侑希さんは微笑むけど、決してあんたの家ではない。 「仰葉、お邪魔します、でしょ」 「うっせーな。いいんだよ。侑希さんだってお帰り、っ言ってくれてるんだし」  仰葉は私の双子の弟だ。ノンケながらも、侑希さんを好きだと公言して引っ付き回るマニアックなファンの一人で、皓斗さんを敵視している。 「部活どうだった?」 「あのね、あのね。俺、ゴール決めたんだよ。最後に点数を入れて勝利に導いたんだ」 「凄いね。仰葉、カッコいいじゃん」  仰葉の目はハートだけど、侑希さんは犬の子を扱ってるようにしか見えない。  報われない恋よね、可哀想に……。 「ただいまー」  次は、お仕事から帰宅した皓斗さんの声。  あ、ほら。侑希さんの顔が変わった。優しい顔がもっと優しくなり、少しだけ頬がピンク色になる。  侑希さんは手が詰まってない限りはいつも、玄関まで皓斗さんを迎えに行くのを私は知っている。 「おかえり、皓斗。日曜なのにお疲れだったな。上手く進んだ?」  侑希さんが皓斗さんの髪をくしゃくしゃ撫でて労れば、皓斗さんは侑希さんの頬にキスを落とす。  なんてナチュラルな流れなんだろう。テレビドラマを見ているみたいでうっとりしちゃう。 「うん、まずまずかな。あれ、ちびっこ達、来てるんだ?」 「ちびっこじゃねーよ」  侑希さんを取られた上に、イチャラブを目の当たりにした仰葉がむくれている。 「まだまだガキだよ。十七なんか」  皓斗さんが仰葉の鼻をつまんでから書斎へ着替えに入った。 「なんだよ、じゃあ皓斗が十七の時はどうだったんだよ」  書斎に向かって仰葉が言う。 「あ、それ私も聞きたーい」 「えー? 俺? 俺が十七の時……」  薄手のニットとチノパンに着替え、リラックスした様子でリビングに戻った皓斗さんは侑希さんに顔を向けた。 「侑希に恋、してた」 「ばっ。皓斗、なに言ってんだよ」 「ほんとのことだもん。今でも覚えてる。初めて侑希に会った時、心臓が馬鹿になったみたいに動いてさ。会うたびに動悸がして、あ、俺、侑希が好きなんだって自覚して……それから毎日毎日、告白したんだぜ」 「きゃー。情熱的!」
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