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「改めまして須藤 励っていいますっ」
「レイさん。どんな字を書くんですか?」
「励む一文字でレイって読みます」
「ふ~ん。いい名前ですね。私は美月。美しい夜空の月」
「うわぁ、キレイな名前ですね。そんな日に生まれたんでしょうね」
「ハハ。本当にそうみたいですよ」
「やっぱり。ハハハ」
「僕、年齢は22歳です。あっちの京智大学に通っています」
「あぁ、近所の大学だぁ」
「そうです。ハハハ」
「私はひとつ年下の21歳です。今は家にいます」
「そうなんだ。学生かと思った」
「いえ、ちょっと事情がありまして。前は通っていたんですけど」
「事情・・・? そうなんだ・・・」
「その格好からするとランニングでもしていたのですか?」
「まぁ、自転車でね。今日は小春日和で気持ちが良かったんで」
「ですよねぇ。私もそうだったんです。お散歩です」
何このテンポよく弾む会話は! まるで久しぶりに会った同級生みたいじゃないか。これはチャンスだぞ。先延ばしにしちゃダメでしょ!
「お昼でも食べに行きます?」
「いいですね」
「ホントに? あ、じゃあ美月さんの好きなマルゲリータでも食べますか」
「マルゲリータ?」
「え? だって好きなんですよね。この間お母様が言っていましたよ」
「え? そうでした?」
「はい。じゃあ、そうでも無かったんだ。ハハハ」
「何でもいいですよ、私は」
「なら近いからそこの喫茶店でも行ってみましょうか」
「ハイ。お任せします」
マジか。何て可憐なんだ。どうしよう、妙に冷静な自分が理解できない。普通のカップルみたいじゃないか! 僕は上機嫌で喫茶店へ入ったんだ。
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