これより三役

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これより三役

カドバーン王国第1王子〝カミウス〟(30歳)は城のダンスパーティーの合間にフィアンセである〝ケン〟(25歳)をバルコニーへ誘った。前日からの大雨が止み、満天の星空。ムードのある演出だ。 「カミウス様、お話と言うのは何でしょう?」 ケンは小柄で可愛らしい、花屋で働く町娘だった。それをカミウスは一目惚れし、アプローチして、王室へ招き入れた。5年も交際していて、ケンはついにプロポーズかと思い、ドキドキする。なんたって未来のファーストレディになれるのだもの。 「ケン…………話というのはな…………その、言いにくいんだが…………」 「覚悟は出来てます。仰ってください」 「ホント? じゃあ悪いけど別れて」 「はっ? プロポーズでは…………」 「プロポーズじゃない。別れてくれ。他に好きな人が出来た」 カミウスは嘘を吐いた。他に好きな人など居ない。カミウスはケンとの身長差が気に入らなかった、自分からアプローチしておいて。カミウスの身長は192センチメートル、ケンは145センチメートル。カミウスは、いつかヤグられるのではないかと疑心暗鬼になっていた。そんな時に父親である〝カネウス・カドバーン王国国王〟に町娘と別れないなら、王位継承権を剥奪すると釘を刺された。本来のヤることはやった。セックス・マシンガンで充分だ。 「こっ……このハゲーーー!!! 違ぁうだぁろ~! 違うだろー!」 ケンはカミウスの地雷である髪薄を踏み、パーティーを抜け出した。 カミウスの頬に涙が伝う。 「私は…………ハゲてない…………! きっと!」 いや、カミウスはハゲ散らかってる。生き残ってる毛根を最大限伸ばして。 ーーカドバーン王国第2王子の〝シナウス〟(27歳)はダンスパーティー等には目もくれず、今日もビジネスの自動車製造に明け暮れていた。カドバーン王国は元々、自動車産業を国策にしていたが、いざ輸出となった時、他国にネガティブキャンペーンを打ち出されて大失敗した。ホーケー民国のオカマ外交条約反故を皮切りに。カネウス国王は次男であるシナウスに産業の舵取りを押し付けた。 シナウスは城の一室で、チープな大衆車からハイソサエティな高級スポーツカーと、シナウスはデザイン画を描く。シナウスには自信があった。鉄の2割程の軽さと約35倍の強度を誇る〝ハイパーディトゥ〟という金属で自動車のプラットホームやエンジンを造れば、カドバーン王国の財政を立て直し出来ると。シナウスの車好きは国内外に知れ渡っている。そして、機械しか愛せない。 シナウスは息抜きに城のワイン蔵に行く時、ばったり、ケンと出会った。 「シナウス様、申し訳ありません」 「よっ。ハゲの女」 「私はもうカミウス様の女ではありません」 「別れたの?」 「はい。では」 「あらら。気を付けて帰りなよ」 ーーカドバーン王国第3王子の〝ホモウス〟(24歳)はゲイだ。今日も町で漁り、可愛い男の子を言葉巧みに城の部屋に連れ込み、わいせつな行為に及ぶ。 「さあ、美少年よ。ギンギンになったラヴ・ミート・スティックを俺のアナルに突き立てて参れ」 「嫌です! 嫌です!」 ホモウスは、嫌がる男の子のラヴ・ミート・スティックに無理矢理ケツを押し当てる。しかし、アナルに入らない。ホモウスは受け専だ。 「チッ! ラヴ・ミート・スティックがしなっちまった。帰れ、クズ」 「どっちがクズだよ!? こんな国、嫌だよー!」 男の子は泣きながら、ホモウスの部屋を飛び出る。 ーーこれが、カドバーン王国の王子達だ。前途多難ーー
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