これより三役

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オウノ王子は次に、シナウスの元へ案内される。城内の自動車開発室だ。コトオーは工場の外で待つ。 シナウスは、70歳くらいの老人と立ち話をしていた。自動車の開発者、サルモンキー博士だ。 「サルモンキー博士、やっぱりピストンもハイパーディトゥで造るべきだ」 「軽量化には良いが、口径を変えないとフリクションロスが出る。ダメだ。燃費が悪くなるし、オイルも食うぞ。それに、自動車開発に充てられている予算は当初の10分の1だ。確実に売れる車を造らないといけない」 「分かってるけどさ、分かってるけどさ」 オウノ王子は2人の真剣なやり取りに気圧されている。すると、シナウスがオウノ王子に気付く。 「やあ、オウノ殿」 「あ、どうも」 「さっき父から、ヨコヅーナ国王が亡くなったと聞いたが、本当か?」 「ええ、まあ」 「帰らないの?」 「このオウノ、政略結婚のお相手を見定めるのが先決と考えてます」 「アサノ王女は紹介してくれるの?」 「アサノにはこれから伝えます。それより姉のミタのお相手を探さないと」 「カドバーン王国の公爵を紹介しようか? デブ専ブス専が居たはずだ」 「酷い言い様ですね」 「それはこっちのセリフだよ。あんな、ひでえデブスと政略結婚をさせられそうになったんだからな」 オウノ王子は、グッと堪える。姉を侮辱された。しかし、デブスなのは真実。痩せる気もない。 「さて。デブ専の公爵の家に案内してやる。サルモンキー博士、自動車開発は一時休憩な」 「あいよ」 シナウスとオウノ王子は開発室から出ると、コトオーが待っていた。 「シナウス様、ドスコイ」 「コトオーか。ドスコイ。久しぶりだな」 「オウノ様、次はどちらへ向かいますか?」 「シナウス殿に案内してもらう。もういいよ」 「そうは行きません。外国の要人を守るのも私の役目ですから。ホテルに戻られたり、勝手な行動は慎んでいただきたい」 「堅苦しいな~。どうします、シナウス殿」 「バルトロマイで行くか」 「バルトロマイ?」 「車名だ。4シーターだから、3人で行けるだろう」 3人は城内のガレージに行く。シナウスはシャッターを開けると、数十台の自動車やオートバイが半円形状に格納されていた。シナウスは1台の車のドアを開け、エンジンをかける。 「俺が運転する、乗りな」 「これが、バルトロマイ…………」 バルトロマイという車はセダンタイプで、フロントに自然吸気の大排気量エンジンを搭載されている。様々な電子デバイスが組み合わされた高級車だ。 オウノ王子とコトオーは後部座席に乗り込む。 「オウノ様、シートベルトをお願いします」 オウノ王子はシートベルトを知らなかった。コトオーは、ポカンとしてるオウノ王子のシートベルトを締めてやった。 「それじゃ出すよ」
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