これより三役

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シナウスはバルトロマイを運転して、高級住宅街のロンググラウンド地区へ行く。ここにデブ専の公爵が住んでいる。 オウノ王子は初めての自動車に緊張していたが、徐々に慣れてきて自動車も馬車に劣らず良い物だと考え始めた。 「シナウス殿、このバルトロマイという自動車はいくら程の値段ですか?」 「800万スリラだな。買う?」 「自動車の運転など、怖くて出来ません」 「カドバーンの都市部から郊外に行った辺りには自動車教習所が幾つもある。そこで学ぶか運転手を雇うか。運転手はカドバーン出身の者になるだろうけど」 「それなら1台。運転手付きで」 「その内、世界中にカドバーン王国の車と道路交通法が席巻する。貴国のソルトオイルとカドバーンのハイパーディトゥが組み合わされれば最強だ」 「楽しみにしてます」 「さあ、着いたよ。従兄弟の〝ゴウ・カドバーン公爵〟の邸宅だ」 ゴウは自動車の音に気付き、魔法で邸宅のゲート開ける。どうせ、シナウスだろうと勘が合っていた。ゴウも自動車が好きで、サルモンキー博士が設計したスポーツカーを数台所有している。 シナウスとオウノ王子は車を降りる。コトオーは車内に残った。 『シナウス、久しぶりだな。それと客人、そなたはヨコヅーナ王国の王子であろう?』 ゴウはテレパシーで語りかけた。 『とても聴き取りやすいテレパシー、大魔法使いですか?』 『そうだ。俺は大魔法使いだ。何の用だ?』 『ゴウ兄さん、話は中で』 シナウスとオウノ王子は邸宅に入る。そこで待っていたのは、ブヨブヨに太った巨漢だった。メガネをかけており、フレームがこめかみの脂肪に埋もれている。 「ゴウ兄さん、ドスコイ。縁談だよ」 「デブか!? デブの女だな!?」 「ジャスト」 「やったー! やっと童貞を捨てられる!」 オウノ王子は不安しかない。ゴウはデブで童貞。しかも見た目はアラフォー。大魔法使いなわけだ。オウノ王子は勇気を振り絞って、ゴウに聞く。 「失礼ですが、年齢と体重はいかほどですか?」 「41歳! 体重は60キロ!」 「ええ!? 60キロ?」 「ゴウ兄さん、160キロの間違いだろ」 「相変わらず、シナウスはデリカシーというものがないな、ハッハッハ」
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