これより三役

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オウノ王子はコレ(ゴウ)では姉のお眼鏡にかなわないと思った。当然だ。イケメンとは程遠い。 ゴウは甘ったるいドーナツを噛りながら甘ったるい炭酸飲料のグビグビ飲む。 「お前達も食うか? ハピネスヒル地区産の小麦粉製だ」 「俺は要らない」 「私も結構です」 「連れないね~」 ゴウは縁談とやらをオウノ王子とシナウスから聞く。お相手がヨコヅーナ国王の第1王女、ミタ(体重145キロ)と聞いてゴウはブヨヨンと飛び上がって喜んだ。 オウノ王子は考え果て、1つの結論に行き着く。それは、ミタに送るゴウの写真をデコって加工することだ。 オウノ王子はゴウに正装に着替えてもらい、魔法写真を撮る。まずは痩せて見える加工をし、次に顔をイケメンにする。メガネは仕方ない。 ゴウは出来上がったその写真を見てたいそう喜んだ。 「いじりすぎ感はあるが、これでデブと結婚出来るなら…………!」 「では、姉にテレパシーで写真を送りますね」 「よろしく頼むよ」 オウノ王子はミタに加工した写真を送ると、すぐにテレパシーの返信が来た。 『オウノ、よくやった! スッゴいイケメンじゃないの、ウフフ。笑いが止まらん。チビ同士の政略結婚はなし、いいわね?』 『いえ、シナウス殿とアサノの婚姻も同時進行で行きましょう』 オウノ王子の考えは、ゴウとミタのお見合いはプランBだ。本命は、シナウスとアサノ。確実に政略結婚を成就させなくてはならない。何しろ父親である、ソルト・ヨコヅーナが亡くなってしまったからだ。ホーケー民国はソルトオイルを狙ってる。オウノ王子は最悪、カドバーン王国主導で国家体制が築かれても辞さない考えだ。 オウノ王子は、シナウスに聞く。 「アサノの事を本気で考えてます?」 「もちろん。あんなに均整の取れた顔。黄金比だ。機械のように美しい」
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