これより三役

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シナウスとオウノ王子は乗ってきた車、バルトロマイに戻る。コトオーが車外で待っていた。 「ご用件はもうよろしいので?」 「帰るぞ、乗って」 シナウスはバルトロマイを運転する。後部座席には、オウノ王子とコトオー。 オウノ王子は妹のアサノとテレパシーで通話する。 『アサノ、ドスコイ。今、付き合ってる人は居ないな?』 『急にどうしたの? 居ないけど』 『カドバーン王国第2王子のシナウス殿と結婚してくれないか』 『急にそんな事…………。シナウス様は、確か、自動車好きで有名な方ですね』 『そうだ。ヨコヅーナ王国の未来のために前向きに検討してくれないか』 『分かりました。まずは、お友達から』 『ありがとう、アサノ』 テレパシーは終わり、オウノ王子は、シナウスに説明する。シナウスも友達からと前向きだ。 シナウスはガソリンスタンドに寄る。バルトロマイは燃費が悪いからだ。給油スペースに停めて車を降りる。セルフサービスだ。すかさずコトオーは給油口を開けて車を降りる。 「シナウス様、私がやります」 「任せるよ」 オウノ王子は、アサノの結婚相手になるかもしれないシナウスをスマートに感じた。不安ないと言えば嘘になる。しかし、カドバーン王国三兄弟の内で一番マトモだ。 ガソリンスタンドの店員が来た。 「いらっしゃいませー! シナウス様!」 「え、セルフサービスのガソリンスタンドじゃないの?」 「月15万スリラじゃ食っていけませんや。少しでも収入を増やさないと」 「1人か?」 「ええ。みんなベーシックインカムでちょっとずつサボるようになって。でも、僕は目が覚めましたよ。満タンですか?」 「ハイオク満タンで頼む。支払いは王国持ちで」 「わっかりましたー! ハイオク入りまーす!」 シナウスとコトオーは車内に戻り、運転席側のウインドウを下げる。 「シナウス殿、ベーシックインカムは上手くいってないようですね」 「民の事を考えて、父のカネウスが施行した制度だが、大失敗だろうな。今更後には戻れないし。俺は車さえあれば、それでいい」 「ホーケー民国も自動車を造っていますね」 「ありゃ、おもちゃだ。ホーケー民国製の車を急加速させると、ピストンがボンネットを突き破る。資源の無駄遣いだな」
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