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アサノ王女はドキドキしながら、シナウスに挨拶をする。
「ヨコヅーナ王国王女、アサノです」
「やあ。俺はシナウス・カドバーンだ。よろしくね」
第一印象はお互い悪くなかった。しかし! シナウスは頭を抱えて悩む。政略結婚とはいえ、いきなりセックスは何か違う。セックスのヤり方も解らない。まずはデートだ。お互いの事をよく知るために。モジモジしているアサノ王女にシナウスは提案する。
「まずはデートしよっか」
「は、はい」
「今、開発している車が凄くてさ。ハイパーRって言うんだ」
「そ、そうですか」
シナウスはまた頭を抱えて悩む。
(デートって何をすれば良いんだーーー!!)
カネウスはテレパシーでシナウスに助言を送る。
『お前は車に強い。ドライブデートをすればいい』
『分かりました、父上』
ーーシナウスはアサノ王女を連れてカドバーン城のガレージへ行く。その間、会話はなし。
「ここにハイパーRがある」
「はい」
アサノ王女は正直、自動車に興味はない。移動手段は馬車がメーンで育ったからだ。
「ホーケー民国の車とは訳が違うぜ」
シナウスはガレージのシャッターを開けて、円柱形の駐車場からハイパーRを外に出す。そして、エンジンをかける。ブォーン! ドドドドーー!
「煩い音ですね。馬車は静かですよ」
「乗って。車内は遮音性があるから静かだよ」
アサノ王女はドアの開け方が解らなかった。仕方なく、シナウスは中からドアを開ける。
「ありがとうございます」
「ドレスで乗る車じゃないけど我慢してね」
「はい」
シナウスはドレスでセミバケットシートに乗ったアサノ王女のシートベルトを締めようとする。その時、顔が近づいた。
「シナウス様、いきなりですか?」
アサノ王女はキスをされると思い、顔が真っ赤だ。
「何言ってんの? 最初にしておかないと後で色々面倒だからさ」
「そういうものでしょうか」
カチッ。シナウスはアサノ王女のシートベルトを締めた。そして、自分もシートベルトを締める。アサノ王女はモジモジしている。
「緊張しなさんな。じゃ出すよ」
「は、はい」
アサノ王女、空振り。
シナウスはとりあえず、飛ばしてロンググラウンド地区へ向かう。道中、シナウスは車の話ばかりして、アサノ王女は飽き飽きかと思いきや、すぐに車、ハイパーRの虜になった。
「自動車とは凄い乗り物ですね。ワクワクします。それに馬を酷使しません。これにソルトオイルを組み合わせれば最強です」
「すまん…………」
「何をお謝りに?」
「アサノ王女の事、車に関してはナードかと思ってたけど。実際にはスマートだね」
「私を甘く見られてはいけませんわ、ウフフ」
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