これより三役

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ーー次の日の朝。カドバーン王国第2王子のシナウスはつなぎを着て自動車に乗り、テストドライブをする。自動車のタイプは官能的なスポーツドライビングプレジャーを全面に打ち出したもの。端的に言うと、サーキットで走る車だ。それを敢えて一般道で試す。 シナウスは自動車の耐久性を確認するため、橋を渡り、山道に入る。河は前日からの大雨で増水していた。 ーーシナウスはしばらく走ってから城に帰ろうとした時、ガガガガーー! 橋が崩れた。 「あっぶね。河に落ちたらひとたまりもない」 橋の陥落で犠牲者は無し。しかし、橋を通らなければ遠回りになる。シナウスの車にそれだけの燃料は残ってない。ガス欠になったら面倒だ。 シナウスは取り敢えず、陥落した橋の前まで車を移動させる。すると、1台の馬車が来た。ヨコヅーナ王国のオウノ王子を乗せた馬車だ。 オウノ王子は自ら橋を確認しに行く。 「酷い有り様だ。遠回りは出来ないか?」 騎手は首を横に振る。 シナウスは馬車の装飾に気付く。王家の紋章があしらわれてる。シナウスも車を降りた。 「あんたら、ヨコヅーナ王国の者か?」 「そうだが。市民には関係ない事だ」 「ほう。カドバーン王国第2王子、シナウスにそんな口聞いていいのかな?」 オウノ王子は一瞬、間を置いてから焦り出した。市民の冗談かと思いきや、シナウス王子は自動車を乗り回していると外国まで噂が流れている。それに、手渡されたプロフィール付き写真を見ると真ん中に写ってる人物と同じ顔。確かに、カドバーン王国第2王子のシナウスだ。 「ご無礼をお許しください、シナウス殿。私は、ヨコヅーナ王国第1王子のオウノと申します」 「ほう。あんたも王子か。カドバーンに来たのは政略結婚の件で?」 「はい。お姉様の結婚相手をこのオウノ、見定めるつもりです」 「ミタ王女っていくつ?」 オウノはドキッとした。姉のミタ王女からはサバを読めと釘を刺されていた。しかし、姉と言ってしまった。ミタ王女は三十路手前の行き遅れ。オウノは誤魔化す。 「あれ~? いくつだったかな~? 若いのは確かですよ」 「あんた、本当にミタ王女の弟かい?」
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