夏の夜。

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 次の日の朝。錦は夜更かしもあり、何時もならば起きている時を回っても、まだ眠っていた。先に目覚めたのは、一刀であった。折角の貴重な盆休みだ、己は既に朝の湯浴みも、着替えも済ませたと言うのに、依然起きる気配の無い錦を前に少々不満そうな一刀。 「錦、そろそろ朝の膳が来るぞ」  優しく、錦の頬へ触れてやる一刀。其れが擽ったかったのか、錦の瞼が動き、本の少し開いた。 「ほら、共に頂こう。こんな日は滅多に無いのだから」  一刀はそう言いながら、まだぼんやりしている錦の額へ軽く口付けを落とした。徐に体を起こした錦。まだ寝惚けているのだろう、一刀の胸元へ甘えるように顔を埋める。 「お風呂行く……」  寝惚けている錦へ、一刀は苦笑いを浮かべ頭を撫でてやった。 「ああ。転ぶなよ」  其の後、湯浴みで確り目覚めた錦。昨夜は楽しかったと、時折笑みが溢れる。祭は夜勤だろうから、恐らく今はぐっすり寝ている筈。今夜も楽しみだ。何せ今夜は一刀の幼い頃の話をして貰える約束なのだから。薊もよく知るのだろうが、どうも一刀より口を止められている様子。余り教えてくれないもので。祭の情報は貴重だと。  漸く、朝の支度を整えた錦が部屋へと戻った。少し遅くなってしまい、膳が既に並べられている。しかし、汁物は此れから。ぎりぎり一刀を待たす事は無かった様だ。
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