2 闇の陰陽師・黒藤

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2 闇の陰陽師・黒藤

「……俺の方に来ましたか」 瞼をあげると、白に染まった世界に一人の黒髪の女性がたたずんでいた。 ここは俺の夢世界――桃子をおくった日の夜、俺の夢に桃子は出て来た。 「貴方だけが総てを知っているように思いまして。……彼女は気づいていませんね?」 「貴女の方は勘付いていましたか」 白が本当は女性であると、桃子は知っていたか。 「黒藤さんが、女性扱いしかしていませんでしたから」 「俺、蹴られて殴られてしかいませんが」 まあ俺の身体が常人よりは丈夫なこともあるが、白は手加減ない。 「……生前――『華取桃子』になる前の記憶も還(かえ)ってきたようですね」 桃子は、微笑み首をかたむけた。
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