幸せを招く服

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 効果抜群だった。 「俺、服には詳しくないけど。そのワンピース、似合っているね」  帰り際、優しく手を握ってくれた。  よし、あとひと息。  じつは次に会うときに着ていく服の目星を付けていた。それも姉のクローゼットの中にあった服だが、これしかないと思っていた。  これしかないと思っていた服を、姉が箱詰めしていた。 「他の人に売るのなら、わたしが欲しいな、この服」  あ?  姉が箱から目を上げてきた。 「これ、わたしのものじゃないんだ。レンタル服でさ。返却日が来てんの」 「延長できない?」  「気に入った服がある?」  うん。素直に頷いた。 「延長はできないシステムみたいだな。あさってコンビニに出してくれたら大丈夫だけど。それでいいなら返送を任せるよ」 「ありがとうお姉ちゃん」  あさって、コンビニで送れない。  だけど延長は三日くらい。  わたしはこの服を着て。  彼をわたしのものにしたい。  延長ペナルティはわたしが負う。  お姉ちゃん、妹の幸せのために。  サイト出禁になろうとも。  協力してください!      ※  ※  ※
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