一の段 若殿さまは一人ぼっち

1/7
前へ
/136ページ
次へ

一の段 若殿さまは一人ぼっち

 みなさん、チョンマゲは好きですかな? 拙者(せっしゃ)は大好きでござる。  チョンマゲといったら、こんな笑い話があります。  江戸時代の終わり(ごろ)、日本にやって来た外国人たちはサムライの頭を見て、ものすごーくおどろいたそうな。 「ぎょぎょぎょ⁉ 頭にピストルつけとる‼ ジャパニーズ・サムライ、やばい‼」  チョンマゲがピストルに見えたのでしょうなぁ。まあ、頭からバキュンバキューン☆と発砲(はっぽう)されたら、(いろ)んな意味で危険(デンジャラス)なのはたしかですが。  この物語は、そんなピストルみたいな髪形(かみがた)をしたお(さむらい)たちが日本にいた江戸時代が舞台(ぶたい)です。  主役は、水戸黄門(みとこうもん)みたいなしわくちゃ顔のお殿さま……だったら、女の子の読者たちからブーイングが飛ぶでしょうし、みなさんと同い年ぐらいの若殿さまにしましょう。それなりにイケメンだと思います。  ほえ? いくらイケメンでも頭がピストルだったら(いや)⁉  ああー、本を閉じないで! 可愛いくノ一(女忍者)も登場するから! ちゃんと最後まで読んでぇーーーっ‼  ……えー、こほん。取り乱してアイムソーリー、ヒゲソーリー。そろそろ物語を始めましょう。  今からざっと150年前まで、日本は江戸幕府(えどばくふ)という武士の政権(せいけん)支配(しはい)していました。  トップはもちろん徳川(とくがわ)家康(いえやす)(こう)の子孫の将軍(しょうぐん)さま。その下で、だいたい250の大名――つまりお殿さまが各地域(かくちいき)を支配していたのです。  この物語の主人公である少年も、そんなお殿さまたちの一人でした。ただ、ちょーっと複雑(ふくざつ)事情(じじょう)がある若さまみたいですよ? 一緒(いっしょ)に見ていきましょう。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加