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家来たちは、義苗さまになぜかよそよそしい。
ご隠居の雄年さまは、義苗さまに菰野藩の政治に関わってほしくない様子。
義苗さまは、毎日何もせずボーっとしているしかありません。
うーむ、そりゃ投げやりな性格になっちゃいますよねぇ……。
「せめて、一人でもいいから、オレの話を聞いてくれる味方がいてくれたらいいのに……」
義苗さま、さっきから独り言が止まりません。よほど寂しいのでしょう。
仕方ありませんねぇ、特別サービスで拙者が愚痴を聞いてあげま……。
ぎゅるるるるぅ~!
おや? この音はなんでしょう? あっ、拙者のおならではありませんぞ⁉ 本当でござる!
「さっきの音は、床下から聞こえたな。も……もしかして、幽霊?」
ぎゅるるるるぅ~! ぎゅるるる~! お腹減った……。
「お腹減った⁉ 幽霊がお腹空くか⁉」
たぶん幽霊はお腹空かないと思いますぞ、義苗さま。怪しいヤツだったらいけないし、床下を調べたほうがよろしいのでは?
「く、曲者だったら、オレがとっ捕まえてやる」
義苗さまは勇気を出すと、太刀(武士が腰にさす大小の刀のうちの大きいほう)を片手に持って庭におり、屋敷の床下をのぞいてみました。毎日ヒマなので、いちおう剣の修業はそれなりにやっているのです(一人でブンブン木刀を振り回しているだけですけどね!)。
「床下は真っ暗だ。ロウソクで照らしてみよう」
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