二の段 くノ一です、にんにん

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 家来(けらい)たちは、義苗さまになぜかよそよそしい。  ご隠居(いんきょ)(かつ)(なが)さまは、義苗さまに菰野藩の政治に(かか)わってほしくない様子(ようす)。  義苗さまは、毎日何もせずボーっとしているしかありません。  うーむ、そりゃ()げやりな性格(せいかく)になっちゃいますよねぇ……。 「せめて、一人でもいいから、オレの話を聞いてくれる味方がいてくれたらいいのに……」  義苗さま、さっきから(ひと)(ごと)が止まりません。よほど寂しいのでしょう。  仕方(しかた)ありませんねぇ、特別サービスで拙者が愚痴(ぐち)を聞いてあげま……。  ぎゅるるるるぅ~!  おや? この音はなんでしょう? あっ、拙者のおならではありませんぞ⁉ 本当でござる! 「さっきの音は、床下(ゆかした)から聞こえたな。も……もしかして、幽霊(ゆうれい)?」  ぎゅるるるるぅ~! ぎゅるるる~! お腹()った……。 「お腹減った⁉ 幽霊がお腹空くか⁉」  たぶん幽霊はお腹空かないと思いますぞ、義苗さま。(あや)しいヤツだったらいけないし、床下を調(しら)べたほうがよろしいのでは? 「く、曲者(くせもの)だったら、オレがとっ(つか)まえてやる」  義苗さまは勇気を出すと、太刀(たち)(武士が腰にさす大小の刀のうちの大きいほう)を片手に持って庭におり、屋敷の床下をのぞいてみました。毎日ヒマなので、いちおう剣の修業(しゅぎょう)はそれなりにやっているのです(一人でブンブン木刀を()り回しているだけですけどね!)。 「床下は真っ暗だ。ロウソクで()らしてみよう」
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