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亮治は薄目を開けて、真人の背中に触れた。背骨をたどっているうちに、ドクッと自分の先端が脈打ち、亮治は真人の口内に射精した。抜かなきゃいけないとわかっているのに、びゅっ、びゅっとあふれる感覚に酔いしれてしまう。
結局最後の一滴まで真人の喉奥に放ってしまい、やっと自身を抜いた時には、真人にゲホゲホと咳き込ませてしまった。
ベッド横にあるティッシュの箱からティッシュを何枚か抜き、「すまん」と真人に渡そうとする。
だが真人はティッシュを受けとろうとしなかった。たった今、亮治が出した白い液体が、真人の口の端から流れる。
真人は指で漏れた精液を拭うと、なんと突然、ゴクッと喉を鳴らしたのだった。
「はっ!?」
いったい何が起きたのか。亮治は目の前にいる真人の行動に、目を疑った。
「真人おま……っ、飲んだ……のか?」
顔を覗くと、真人の半開きになった口の中には、すでに何も残っていないように見える。真人は小さく「……うん」と頷いた。
わけがわからなかった。どうしてそんなものを飲むのか。専用アプリで何人かの男を抱いてきた亮治だが、亮治の精液を積極的に飲もうとする男は二つのパターンに分かれていたことを、ふと思い出す。
一つは性欲旺盛な男だ。そしてもう一つは――。
亮治の頭の中に、それだけは避けたいと思っていた考えがよぎる。
「なあ、真人……一つ訊いてもいいか」
「……なに」
「違ったらごめん。おまえさ、俺のことを好きじゃないよな?」
亮治は訊いた瞬間に、後悔した。
「……そんなわけ、ないじゃない」
そう言って笑いながら否定した真人の目からは、涙が一筋流れていたからだ。
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