哀れな男の一目惚れ

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「言いにくいんだが……」 帰って来た言葉はノーだった。俺とは飲みたくないらしい。 なんでだ。なんで、俺とは飲みたくないんだ? そもそも俺は彼女と会話すらしたことがない。ホームページで見て、素敵だと思ったから声をかけたのに、何が嫌なんだ……。 「なんでですか?」 「え?」 「なんで、ノーなんすか!?」 強く聞いてみた。だって、こんなの納得いかねぇよ。 「元々飲みに行くのは好きじゃないらしい」 は? それだけ? んなわけないだろ! 「それだけじゃないっすよね? 別に日程ならいくらでも合わせますけど!」 「いや、飲みに行くのが嫌らしいんだ」 「なんで!?」 そんな頑なに断らなくても良いだろ!? 俺が山崎さんに何をしたって言うんだ!? 「俺何かしたんすか? いや、全然納得いかないんすけど!」 そう思って、これなら新宿支店に電話して直接本人に聞こうと勢いのまま受話器に手を掛けると、慌てて金城さんが止めに入った。
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