哀れな男の一目惚れ

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「やめとけ」 「理由を教えてください」 「あー、うー……」 「彼女は俺が嫌いなんすか!?」 「……」 沈黙が肯定だとわかるのにそんなに時間はいらなかった。 でも、なんでだよ。 疑問ばかりが浮かぶ。 「山崎がお前のことを好いていない理由か? ……心当たりないのか」 金城さんが濁しながら、返事をくれる。 心当たり? まるで面識があるような言い方だ。 眉間にシワを寄せて、腕を組む。どんなに唸っても心当たりはない。 金城さんは大きくため息をつくと、パソコンを開いて、メール画面を開く。 ん? 開かれたメールは、俺が送ったメール画面。 金城さんをはじめとして、武蔵小杉のスタッフや本部の人にまで送っている。……一年前のメールだ。あれ? 待てよ。メールの宛先に『山崎愛海』がいる。 「お前、まさか、これ忘れてるなんて言わないよな?」 金城さんが呆れた顔で俺を見た。 忘れてはいないけど、そこまで覚えているわけでもなかった。
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