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男はナイフを離すと、陽名世を寝ている体制から立たせて再び、ナイフを突きつけた。
「じゃ、行くぞ」
「はい...」
陽名世は渋々、返事をした。
陽名世と男が丹波の元へ向かおうと、引き戸を開けようとしたときだった。
引き戸が開いた。
「ちょっと、うるさいわよ!」
真叶だった。男の大声がうるさかったから起きたのだろう。
「貴方、誰なの?......陽名世!」
「おい、静かにしろ!そうしないと、こいつ殺すぞ」
真叶は焦っていた。やはり、寝起きだからか頭は回らない。
陽名世はどうにかして真叶のことを逃がしたいが、為す術もなかった。
「陽名世のこと離して!貴方、何が目的なの!」
「俺の事は良いから逃げ」
「うるせぇって、言ってんだろ!もう、いいわ......。 。お前ら、全員殺してゆっくり探すことにするわ」
男はそう言って、口角を上げた。その表現は凄く楽しそうだった。
陽名世の首筋にナイフの刃先が当たる。
真叶は男の表情が恐ろしく、手足が動かなかった。
「あー、人殺すの初めてだからなんかドキドキするなー。......おし、一思いに行くか!」
陽名世は死ぬ、そう思って目を閉じた。
その時、だった。
「ぐほっ!」
男が倒れたのだ。
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