19人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「本当にすみません。まさか、こんな山奥に強盗が入るとは思わなくて、戸締りするのを怠っていました......」
「まあまあ......。助かったんで大丈夫ですよ」
「寿命が十年縮んだわ......」
結果的に、陽名世と真叶は殺されずに助かった。
陽名世の首筋にナイフの刃先が当たったとき、刀が男の頭にクリティカルヒットしたのだ。それにより男は気絶して倒れた。その後、丹波を呼び、警察に通報してと色々と大変であった。
「......伊那は陽名世のことを呪っている訳じゃ無さそうね」
「そうですね。伊那さんは俺のことを助けてくれた。ありがとう......」
陽名世は刀を抱きしめた。一昨日まではあんなに恐れていた存在だったのに、今は好きとまでは行かないが大事な存在になっていた。
「じゃあ、夢を繋げてみましょう」
「え、死にたくないです」
「大丈夫よ。伊那も快く受け入れてくれるわ」
真叶はにこやかに微笑んだ。
陽名世はその彼女の笑顔に免じてその言葉を信じようと思った。
「俺も見てもいいですか?」
丹波はこういうのに興味があるらしく、近寄ってきた。
「ええ。布団、借りてもいいかしら?」
「どうぞ」
「陽名世、寝てちょうだい」
布団に寝ると、真叶が枕元に刀を置いた。
「いい?夢の中に入ったら伊那のことを考えながら扉をイメージするの。そうすると、扉が現れるからその扉をゆっくり開けるのよ。そうしたら、伊那の世界に繋がるわ」
二人に見守られながら、陽名世は目を閉じた。夜中に強盗に起こされたからか、すぐに眠気が襲ってきた。
「おやすみ、陽名世」
最初のコメントを投稿しよう!