再会した彼女の娘

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僕の名前は『津城 柊真(つしろ とうま)』、4年制の大学を卒業して東京都内の建設関係の会社に勤める28歳独身の平凡な会社員だ。 僕は大学時代から、かれこれ10年ほどアパートで独り住まいの生活をしているが、最近何となく寂しく感じるときがある。 特に冬の季節は、寒い外からアパートの自宅に帰って玄関の扉を開けると、当然ながら真っ暗でひんやりとした部屋が待っていて、この寂しさに僕はいつまで経っても慣れることができずにいた。 そんな僕は、そろそろ結婚して身を固めて温かい家庭を持ちたいと思っていた。 ある週末金曜日、翌日は会社がお休みでこの日定時に仕事を終えた僕は、1人でぶらりと飲みにでも行こうと思い立った。 今まで1人で飲みに行ったことはなかったけれど、そろそろ行きつけの飲み屋の1つでも作りたいという少し大人ぶった気持ちもあって、スナックを探すことにした。 有楽町に行って飲み屋街を歩いていると、路地の少しはずれの静かな場所に小さなスナックを見つけた。 はじめてのお店で少しどきどきしながらお店の扉を開けると、お店の女性から笑顔で声をかけられた。 「いらっしゃいませ!  お1人様ですか?」 「はい、1人です。」 僕が返事をすると、カウンター席に案内してくれた。 僕が案内された席に座ると、さらにその女性は話しかけてきた。 「ママの真由美と申します。  お飲み物は、どのようになさいますか?」 「焼酎お願いします。」 僕が答えると、 「少しお待ちくださいね!」 と言って、ママさんは店の奥に焼酎を取りに行ったようだった。
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