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紗月は少し悩みながら話をはじめた。
「実はね、柊真の子供なの…」
僕はあまりのショックで、何と言って言葉を返したらいいのかわからなかった。
「僕の子供?」
僕には思い当たる節があって、まさかと思いながら聞いてみた。
「もしかして、あの時の子供!」
紗月は何も言わずに頷いた。
僕は大学4年生の頃紗月との間に子供ができてしまったけれど、まだ学生の僕は紗月と結婚して子供を育てていくのは経済的に難しいと思い紗月に子供を下ろすように言ったのである。
紗月は子供を下ろすのには抵抗していたけれど、最終的には僕が説得して子供を下ろすことに同意してくれた。
その後、紗月との関係がぎくしゃくしてしまい紗月とは別れてしまった。
僕は紗月は子供を下ろしたものと思っていたけれど、実際には下ろしていなかったということになる。
僕は紗月に対して、申し訳ないという気持ちでいっぱいになった。
「僕は紗月に苦労をかけてしまったのかな?」
僕が紗月に対して申し訳ないという気持ちを伝えると、
「柊真に相談せずに産んだ私が身勝手なんだよ!
柊真は何も悪くないよ!」
と僕の気持ちを酌んだ言葉をかけてくれた。
僕はすごく責任を感じて、自分の思いを正直に伝えることにした。
「紗月、正直に話すけれど、僕は紗月と別れてから後悔したんだよ!
僕は紗月のこと忘れたことはなかったよ!
今日紗月とこうして再会できたのは、何かの運命だと思ったよ!」
僕は紗月の瞳をまっすぐに見据えて話をした。
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